子どもが自閉症かも?特徴や症状とは?幼稚園のわが子が診断された体験談
発達障害について、最近はメディアで取り上げられることが増え、世間一般にも知られるところとなっています。その一方、情報の質は実にさまざまで、推測や憶測、思い込みから来る誤ったものも決して少なくないのが実状です。
あらぬ噂や中途半端な知識に振り回され、当事者やその家族、またその周りにいる方々が、より大きな負担を抱えるようなことになってはいないでしょうか。
また、わが子や身近な子どもが発達障害と診断されながら、療育の方法やその後の進路の相談が出来ずに、辛い思いをされている方もいらっしゃると思います。
私は障害者の子ども達、そしてその親御さんと触れ合う機会を多く持ってきました。親御さんは、ご自分の心に葛藤を抱えながら、子どもの育てづらさとその責任を一手に請け負い、さらに世間の無理解に立ち向かわなくてはなりません。
なにか少しでも、そういうみなさんのお役にたてないかと思いながら、私も日々、子ども達の障害について考え続けています。
●子どもが自閉症かもと言われたら?特徴的な症状とは?
●原因は親の遺伝や育て方?妊娠中や高齢出産が原因?
●子どもが自閉症で辛い。受け入れられない方への体験記
●育て方や接し方は?将来はどうなる?疲れたときのアドバイス
前回はアスペルガー症候群について、少しですがお話しさせていただきました。今回は自閉症について、下の目次どおり、よく耳にするご質問などにお答えするかたちでお話ししていきます。どうぞよろしくお付き合いください。
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子どもが自閉症かもと言われたら?特徴的な症状とは?
まず発達障害について、そして自閉症がその中で占める位置付けなど、基本的な知識については、「アスペルガーの子どもの特徴とは? 原因や遺伝の確率。治る治療法は?」という記事で説明させていただいています。
堅いお話が重複するのも憚られますので、ここでは割愛して、実際的なお話しをしていこうと思います。お時間に余裕があれば、上記の記事の1つ目の見出しに記載ありますので、是非お目通しください。
さて表題のように、ご自分のお子さんが「自閉症」かもしれないと伝えられたら。それを伝えてくださったのは、だいたい次のような人からと思われます。
■幼稚園・保育園の先生
■ご近所のかた
■ご家族や、よく交流のあるご親戚
■習い事の先生
■かかりつけの主治医
いずれもよくお子さんを見て観察してくださっている方。そして恐らく、言い辛い、でも伝えなければという気持ちでおっしゃっています。
唐突に告げられて、驚きや嫌悪感が先にたってしまうかもしませんが、そこは冷静に対峙しましょう。大切なことを言ってくださっているのだと認識しましょう。
まず、その方から、よくお話を聞いてくださいね。子どものどういうところを見て、自閉症かもしれないという判断をされたかを伺います。細かいお話しをしてくださるようなら、メモを取っておくのもいいかもしれません。後々、専門家に伝えるときに役立ちます。
そして、もしかしたらお母さんである貴方が、以前からわが子に対して「なにか人と違うところがある」という気づきがあったことや、思い当たる節があったかもしれません。思いながらも、気づかない振りをしてしまう場合もあります。
また逆に、全く気づかず、思いもよらないことが幼稚園や保育園でのお子さんの行動の内にあったのかもしれません。そういうさまざまなことが、指摘してもらえることで明らかになっていきます。大切な課程です。
いずれにしても、冷静に。指摘してくださった方のお話しを聞いた上で、今度はしっかりとお子さんを観察してみてください。
幼稚園や保育園に通われているとしたら、他の子ども達と比べてみます。また、園内で他の子ども達や先生がたとの関わりの様子も観察します。
ただし、他の子ども達と比較するのは、それまでです。
違う様子があるかどうか、どういう違いがあるか、を観察することが目的であって、万が一障害があった場合、健常児と比較をすることで得るものは一切ないからです(もちろん健常児同士であっても、子ども同士を比較して優劣を思ってはいけませんよね、それと一緒です)。
自閉症の子ども(幼児期)の大きな特徴で「見分けやすいと思われるもの」を挙げておきます。
- ひとりで遊ぶ
- そばに同年代の子どもがいても気にする様子がない
- 相手の目を見ない
- 呼びかけてもふりむかない
- 指差しをしない
- 人の手をつかんで指し示しをさせたり、物を取らせようとする(クレーン現象)
- 手を繋いだり、抱きしめられたり、体に触れられるのをいやがる
- ざわざわと騒がしいところを嫌い、耳をふさいだりする
- 人の多い場所で戸惑う、もしくは逆に全く他にだれもいないかのように振舞う
- 極端に偏食である
- 暑さ寒さ、熱さ冷たさに鈍感である、または逆に非常に敏感である
- 大きな音や強い光を嫌う
- 2歳を過ぎても発語がない、もしくは一旦出ていた言葉が出なくなる
- 言葉は出ているが、オウム返しや場にそぐわない言葉の繰り返しなどが多い
- 常同運動をする(手をパタパタ、とびはね、くるくるまわる、階段の上り下りを延々にしたがるなど)
- 常同運動をするものを極端に好む(歯車の動き、排水口の水の流れ、川の流れ、電光掲示板の文字の流れなど)
- 変化を嫌がる(同じ服しか着ない、同じ色の靴しか履けない、同じ道順、同じ位置でないとだめなど)
発達障害全般に言えることですが、まさに100人いれば100人が違う症状を示すのが発達障害の特徴でもあるのです。まさに十人十色。他の病気や障害のように、これが現われれば診断がつく、というものではありません。
そしてまた、診断がついた後の発達の方向性や度合いによって変化していく場合も多く、特に発達障害のうち自閉症を含む「広汎性発達障害」は連続体として考えられ、昨今の診断名としては「自閉症スペクトラム(連続体)」が付けられることとなっています。
日頃、自分の子どもしか見ていないと、案外と上記の特徴に気づかず「これが普通」と思いがちです。他の子ども達の中での様子を観察して「ちょっと違和感がある」ようなところがあれば、要チェックと思っておいていいでしょう。
どちらにしても、お子さんを見ているどなたかの目には「自閉症かも」という何らかの要素があるということです。
早いうちに親がそれを気にして、少しでも対処していくのは大切なこと。お子さんに発達障害がある場合、何といってもまず、親がしっかりとサポートしてゆくことが大切なのです。しかも、一日でも早いことが望まれます。
次に、親御さんがしなければいけないことを考えてみましょう。
早急に、専門医に受診します。市の健康センターなどを訪ねると相談にのってもらえます。専門医の紹介もそこでお願いしましょう。
ただ、あまり熱心でない市町村もあるかもしれませんので、もしも不安がある場合は自分で専門医を探すのも手です。かかりつけの小児科があるなら、そこの先生に相談をして発達障害の外来のある病院を紹介してもらうこともできます。
できれば、市や県の「小児医療保険センター」などの大きな病院と、専門医のいる開業医、いくつかを受診して、セカンドオピニオンとして別の意見を聴けるようにしておくことが望ましいと思います。
発達障害はまだまだ対処法が樹立されていない分野ですので、できるだけ多くの専門家の見識を伺い、その中から良いと思われる意見を取り入れていく、という余裕を持ちたいです。
一人の先生のおっしゃることだけを軸にするのは、あまりおすすめできません。
人気のある病院の場合、予約がとれず1ヶ月待ちや2ヶ月待ちになることもあります。その間も無駄にはせず、ネットや本で勉強しておきます。
訳のわからない不安を抱えているよりは、自ら自閉症についてのきちんとした知識を得て、しっかりと考え対処していける力をつけていきましょう。理解が深まると、ただ不安であったことが、今後こうしていくといい、という展望へと変化し、ご自身も楽になります。
最初は簡単な本から、だんだんと専門書に近いものへとレベルアップさせて読みましょう。知識は大切です。
知っていることで、今後専門医との会話も成り立っていくようになりますし、小学校へあがる際の方針を決めるなどの大切な場所で、きちんと意見を発信できれば、希望を聞き入れてもらえることにつながっていきます。
話を戻しましょう!受診すると、問診などのほかに、別途発達検査を受けることになります。診断がおりるのはその後のことです。
そこで「自閉症スペクトラム」と診断された場合、できるだけ詳しい現状を先生から説明してもらいましょう。その際、メモを取るのを忘れずに。幼稚園・保育園に報告する必要がありますし、他の療育施設を利用する際にも必要になります。
(もしくは、自閉症ではなくADHDであるなど、他の診断が下る場合も考えられます。それらの障害についてもまた別の記事でお話しできたらと思っています)
そして、療育機関についても紹介いただくか、できるだけの情報をもらいましょう。
市の福祉センター等で、就学前の発達障害児への療育をしてくれるところもあります。小中学校の一部で「ことばの教室」(通級教室)を行っている場合で、就学前から通えるところもあります。
また、もっと身近なところ、今通っていらっしゃる幼稚園や保育園内で、発達障害児の療育クラスがあるかもしれません。
あまり無理をしてあれこれ受けるのはお勧めできません。なにより本人の負担になるからです。そういう意味では、今いる幼稚園や保育園で特別支援のプログラムを受けられるのが理想的です。
時間が遡りますが、専門医への受診までの間、通われている幼稚園・保育園とも話し合っておく必要があります。専門医での問診で、幼稚園や保育園でのお子さんの様子を話さなければなりませんので、園内での様子を詳しく聞いておきましょう。
また逆に、先生方に我が子に注意しておいてもらいたい旨を伝えることも大切です。気になっているところがあれば、きちんと手を掛けていただくようにお願いしましょう。
原因は親の遺伝や育て方?妊娠中や高齢出産が原因?
自閉症の原因については、はっきりとは解明されていないのが実状です。ですが、生まれながらにしての脳の障害ですので、後天的なものではありえません。
親の接し方や育て方が原因と言われていた時代もありましたが、それは間違いです。ただ、親の原因とされていたのには、実は理由があるのです。
自閉症の子ども達が、親から放任されがちであると見られていたのです。でも実際はちがいました。子どもの方で親の愛情を上手に受け取ることができないでいたのです。
たとえば、皮膚感覚の違いや人との距離感がわからない自閉症の子どもにとって、抱きしめられるのは苦痛なのです。
手をつなぐことを嫌がる子もいます。声かけをしても目も合わせない、感情表現をすることが出来ない子や人に対する社会性の低い子は親にすら笑顔を向けることがありません。
そんな我が子をどう扱えばいいのか、どう愛情を注げばいいのか、たとえ親であっても判らず、そして手を差し伸べることができなくなってしまうのです。
ですが、今は、さまざまな情報があり、自閉症というものへの理解が進んできています。そのおかげで、親のほうもまた「自閉症である」ことを理解し、症状を把握することで、きちんと子どもに対処することが可能になってきました。
では、遺伝はどうでしょうか。それもまだ解明されていませんし、今後もはっきりとした答えは出ないと思います。なぜかというと、自閉症自体、ひとつの脳の部位の異常から発症するものではないからです。
沢山の要素が絡み合った結果、さまざまな形で出てくる障害なので、ある部分の遺伝だけでは説明することは不可能です。ですが私は、広く長い意味での遺伝はあると考えています。
兄弟姉妹や親子で発症するケースがままあるのが動かせない事実ですし、家系的に出やすいか出にくいかもあります。ただし、自閉症そのものが遺伝するのではありません。発現しやすい体質が遺伝するのだと思っています。
そしてそれは、親からの遺伝だけではなく、その両親から、そのまた両親から、さらに遠い祖先から続くものなのだと思います。
また、遺伝子というのはとても傷つきやすい環境に常にさらされています。人の発生上、脳の形成の過程で獲得した結果である可能性も高く、すべてが遺伝で起こるわけではないのです。
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また、時に原因として挙げられやすいのが、妊娠中の妊婦の行為によるトラブルです。
その他、高齢出産や夫婦間の年の差などを一因として挙げている情報もありますが、いずれも確かな統計が取られているのではなく、きちんとしたデータによる分析や実験結果があるわけでもありません。
妊娠中の妊婦の日常生活の悪影響として、喫煙や過度の飲酒、大きなストレスや栄養の偏り・不足などがありますが、それらの子どもへの影響はまた別の形で現われることがはっきりしています。
妻または夫の加齢による卵子や精子の状態を問われるような論も見かけますが、現実の発達障害児のご両親の年齢は実にさまざまで、それを見ている限り親の出産時年齢などによる原因は考えられないと思います。
予防や対処法を究明するための原因追及はもちろんするべきで、今後も研究は続けられ、またその成果に期待をしています。
ですが、時として「原因を知りたい人」のために無理に理由を捻出してしまうという傾向が、世間、特にメディアにはあります。当事者にあたる人は、冷静に幅広く知識を広げ、確信の持てない情報に振り回されないようにしなくてはなりません。
さらに大事なことは、原因が自分にあるのではないかと思い悩むよりも、これからのお子さんと自分たち家族の生活の質をいかによいものにしていくか、お子さんの将来をいかに築き上げていけるのか、そちらに力を注ぐこと。そのほうがずっと大切で有意義です。
前を見て進みましょう。
子どもが自閉症で辛い。受け入れられない方への体験記
お子さんの障害をすぐに受け入れられる人は、まずいません。受け入れられないご自分のことを、まずは認めてあげましょう。
大丈夫、辛いのが普通です。障害のある我が子を、どうしても自分の子どもであると思えなくなることも、決していけないことではないのです。
特に自閉症の場合、当の子ども自身にコミュニケーションや社会性の困難があるため、親に対しても関係性を築けなく、体の触れあいを拒否したり、親の声掛けにさえ反応を示さない、などという点があります。
その中でも一番こたえるのが、表情がない、または乏しいこと。笑顔を見せてもらえない場合です。
単純なことですが、親は子どもの笑顔に癒されます。どんなに疲れていても、子どもが笑ってくれることで母性父性が働き、育児に喜びを感じることができます。
「新生児微笑」というのをご存じでしょうか。まだ感情が生じる前の新生児の時に、赤ちゃんが見せる笑顔のことです。これは赤ちゃんが親に対して自分に愛情を注いでもらえるように本能として植え付けられている動作のひとつと考えられています。
このことが示すように、子どもの笑顔、よい感情表現は親の育児本能に働きかける1つの大きな要素なのです。それがないままに、子どもに愛情を注ぎ続けることが如何に難しいことか、想像することができます。
そう、自分の子をどこまで愛してゆけるのか不安になってしまう人が、自閉症の子どもの親御さんの場合、多いのではないかと思います。
我が子に障害があると言われただけでも辛いのに、子どもをどこまで愛せるかどいうかわからない。育てつづけていけるのか、自信がなくなってしまう。
また、自閉症でまだ幼児期の場合。子ども自身もまた、いろいろな外界との軋轢に、訳がわからないままに闘っている状態ですので、辛いことだらけなのでしょう。家でも外でも、とにかく泣いて怒って騒いでばかり。そんな時期があります。
子どもがパニックに陥るたびに、親御さんまでが泣いて怒ってしまう。そして子どもが泣き寝入りした後になって、なんて可哀想なことをしたのかと落ち込んでしまう、そんなこともあるでしょう。
でも、仕方ないんですよ、親にだって初めての経験です。どうしたらいいのか判らなくて、一緒に泣いたりパニックを起こしてしまうこともあっていいんです。
だって、お子さんとの一日は本当に大変ですよね。幼稚園や保育園に連れていくのも一苦労で、着いてからも離れてくれるまでが毎朝の戦争。お迎えに行ったら行ったで、次は帰らないと大暴れ。
普段も目を離した隙にダッシュでどこかに行ってしまうので、一瞬たりとも目が離せなくていつも臨戦態勢。夜も睡眠障害があってきちんと熟睡してくれない。食べてくれるのは白いごはんとポカリスエットだけ。
そして私には笑ってもくれないのに、電光掲示板の流れる文字を見るときだけは飛び跳ねて大喜び…。
『他所の同年代の子どもを見るたびに、「お願いだから普通になって…!」と悲しくて泣いてばかりいます』そう訴えるお母さんがいらっしゃいました。
ですが、大丈夫ですよ。沢山泣いて、沢山考えましょう。そして、これからのことを決めていくんです。ひとつひとつ、お子さんのことをよく見て、そうするとだんだんとわかってあげることができてきます。
自閉症の子は、感情や自己表現のアウトプットが上手くできずにいますが、周囲の出来事はちゃんと見えている子が多いのです。お母さんお父さんが、丁寧に接し手をかけてあげることで、それが本人に伝わり、それこそが一番の療育になるんです。
お子さんが外界との壁に困難を感じていることを、ひとつひとつ丁寧に説明し、社会との橋渡しをしてあげていってください。人一倍、親の助けを必要としている子です。
そして脳の発達は、一般的な順序ではないけれど、ちゃんと進んでいきます。お子さんは、今は理解できていないことでも、慣れていくことで出来、出来ていくことで「ああこういうことか!」といきなり理解するような場面も多くなってきます。
そういうことを一緒に体験していくことで、親子間の愛情は確実に大きく育っていきますよ。
育て方や接し方は?将来はどうなる?疲れた時のアドバイス
自閉症というのは、生まれながらの脳の障害を原因とし、「社会性」「コミュニケーション能力」「行動や嗜好」の偏りが大きく、実生活に困難が生じる症状が出ることです。
消して病気ではありません。大きく言えば、その子の個性です。ただ、一般的な社会で生きるには困難を伴ってしまうことが問題なだけです。
ですから、その子の個性を認め、伸ばしながら、かつ社会で生きていくのに適したノウハウを出来る限り身に着けさせてあげるようにしていく。それが「療育」です。
幾度も書いていますが、自閉症の発現の仕方は実にさまざまで、ひとりとして同じ症状の子どもはいません。個性の延長上にあると考えたほうが「自閉症スペクトラム」という意味では正しいのかもしれません。
そして私は思うのです。体感や感受の仕方が違う人にとって、一般的な感覚を持って育ってきた人とは、世界の捉え方が違うのではないでしょうか。
私はこの音が好き。だけど周りにいる大人もお友達も、嫌な音だという。どうしてだろう。ボクがキライで我慢できないココの空気の臭い。なのにみんなは平気そう。誰に言っても判ってもらえない。どうしてなの?
周りの人と同じ感覚を持って、同じ良し悪しや評価を出来ることを、共感といいます。その共感が出来ないことが重なり重なって、自閉症の子ども達は心に孤独を培ってしまうのです。
外界と自分との激しい違い。自分が自分であることさえ感覚として捉えることが難しい状態で、心を成長させていくのには無理があります。砂上の楼閣のように、礎がないのです。まずは堅く確りとした土台を作るところから手を伸べねばなりません。
ですから、まず親がしてあげなければならないのは、お子さんへの共感です。共感し、肯定し、認めてあげることです。それは、違う法則を持つ世界で生きる人の尊厳を認めてあげることです。
ただただ一般的な常識を押し付け、従わせるような「療育」には無理があります。お互いの世界の捉え方がありますが、社会はひとつ。なので、妥協点をみつけます。
私たちも歩み寄るので、自閉症の世界を持つ君たちも、ここまで頑張って来てくれる?そんな地点を目指して、生活や社会参加の仕方を学んでいってもらうのです。
その地固めとして、共感し、肯定し、お子さんが自分の存在を自分で許し、この世界で生きていいのだということを潜在意識として植えつけてあげること。静かに寄り添って、ささいな事から、細かく教えてあげることです。
関わりはできるだけ多いほうがいいのです。その際、決して否定しないこと。マイナスの言葉は封じておきましょう。叱るときは、短い理由を添えて、簡潔に叱ります。大声で怒鳴ったり、長い小言は無駄になってしまうだけ。
お子さんは「怖い」「怒られた」「否定された」ということで頭がいっぱいになり、何がいけないのかにまで意識が行かなくなります。長い小言や説明も、結局は理由がわからないままに「早く終わらないかな」とイライラするだけになってしまいます。
簡単にですが、自閉症児への基本的な接し方・育て方の注意点を書いておきますね。
- 肯定的な言葉をつかって接するようにし、否定的な言葉や態度は控えます。
- 簡単な言葉で、きちんと伝わるように話します。
- 1度に沢山のことを伝えないようにします。また曖昧な表現はNGです。
(「着替えたら手をあらってね」では混乱します。「服を脱いで」「これを着てね」それができてから「手を洗っておいで」。「ちゃんとしなさい」は通じません。「机の上のご本を本棚にいれておこう」と具体的に細かく指示します) - 急な環境の変化をつけないようにします。突然カーテンを開けたり、電気をつけたり、音を鳴らしたりするのはやめましょう。
- 予定の変更を受け入れるのが困難な場合が多いです。出来るだけ変更せず、やむを得ない場合はなるべく早くから告げ、行き先や会う人の写真を見せるなどして、不安を取り除いて納得させます。
- 日課にしていることは必ずさせてあげましょう。「時間がないから今日は天気予報は見ないで外出」はダメ。精神的にその先に進めないまま現実を受け入れることになってしまい、混乱やパニックを招くことがあります。
- こだわりの行為をやめさせる必要はありません。周囲に迷惑がかかる場合や自分の身への危険がある場合だけ、代替のもの(こと)を上手に提示するなどしてやめさせるようにします。その他のことは、好きなだけさせてあげましょう。
肯定的な言葉をつかって接するようにし、否定的な言葉や態度は控えます。簡単な言葉で、きちんと伝わるように話します。1度に沢山のことを伝えないようにします。また曖昧な表現はNGです。
(「着替えたら手をあらってね」では混乱します。「服を脱いで」「これを着てね」それができてから「手を洗っておいで」。「ちゃんとしなさい」は通じません。「机の上のご本を本棚にいれておこう」と具体的に細かく指示します)
急な環境の変化をつけないようにします。突然カーテンを開けたり、電気をつけたり、音を鳴らしたりするのはやめましょう。
予定の変更を受け入れるのが困難な場合が多いです。出来るだけ変更せず、やむを得ない場合はなるべく早くから告げ、行き先や会う人の写真を見せるなどして、不安を取り除いて納得させます。
日課にしていることは必ずさせてあげましょう。「時間がないから今日は天気予報は見ないで外出」はダメ。精神的にその先に進めないまま現実を受け入れることになってしまい、混乱やパニックを招くことがあります。
こだわりの行為をやめさせる必要はありません。周囲に迷惑がかかる場合や自分の身への危険がある場合だけ、代替のもの(こと)を上手に提示するなどしてやめさせるようにします。その他のことは、好きなだけさせてあげましょう。
また、言葉での理解が得意でない場合、カードで示したり、図解を書いて壁に貼ったり、ホワイトボードを用意して丁寧に説明したりします。逆に、図や絵を理解しづらい子に対しては、言葉がけで生活を助けていきます。
そして、本人が興味を示す物事、好きなものがわかって来たら、そこからいろんな方向へ興味を引き出し、体験や学習に結びついていくように導いてあげられれば幸いです。
たとえば、絵本で恐竜に興味を示すようなら、恐竜図鑑を買って一緒に見て楽しむ時間を作ります。そうすると長い恐竜の名前を覚えていき、そうこうするうちに突然カタカナが読めるようになったりすることがあります。
海に興味を持つ子どもに、海の生物の図鑑を与えたところ、どうもプランクトンのページばかり見ている。そこでプランクトンの写真が鮮明に載っている大人向けの専門書を買ってあげたら、あっというまに全てのプランクトンを判別できるようになったということも実際にありました。
本人の好きなことを見つけだせれば、それを伸ばしてあげられます。好きなことに没頭している時間は、本人にとって寛げて楽しい至福のときです。
成長過程、そして成人してからでも、社会との軋轢の中で辛いことの多い自閉症の子たち。その苦労の中で、ホッとできる大好きなこと(もの)があるのとないのとでは大違い。
そして「このことなら人に負けないくらい知っている」「だれよりも上手にできる」などという自信にもなります。小さなことでもいいのです。好きなことを見つけ、一緒にかかわりながら、伸ばしていってあげましょう。
障害のあるお子さんの将来のことを考えると、心配で暗澹たる気持ちに陥ってしまうでしょう。それを解消するためには、親としてできることをしっかりと考えて、動いてみることです。
自閉症の中でも、障害の軽い重いがあり、そのうちでも個性によってまた変ってきます。ですので、一概に将来に向けて、どうするのがいいのかまとめてしまうことはできません。
まず、就学するところから変ってきます。地域の小学校の特別支援学級。一般学級。養護学校。その他、公立大学の附属学校に養護学校がある場合もあります。私立の養護学校も数は少ないですが、あります。
たくさん見学し、お子さんに一番合っている就学先を選びましょう。親の見栄や親族への気遣いなどはこの際、横に置いておいて、なによりもお子さんのこと考えて決めましょう。
発達障害の子どもは、一般的な発達には合致しないながらも、しっかりと発達していきます。小学校6年間の間に、きっと見違えるようになっていくはずです。
過度な期待は危険ですが、お子さんの成長を信じて、その時々の成長に合わせた支援をしながら寄り添っていきましょう。中学校へあがるとき、高校へあがるとき、ひとつひとつ決めてゆけばいいと思います。
ただ、そうはいっても、成長していく間に、将来のためにできることもあります。生活習慣や、社会への適応にかかせないこと。学校でも勿論教わりますが、家で習慣としてしまうと社会生活に苦労しなくなることも多いのです。
そういう例を、ある本が示してくれています。
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この著者である明石葉子さんのようには、なかなかできない!と私も思いますが、そうか自分で考えて工夫して、マイ子育てをしてゆけばいいのか!と思えるのではないでしょうか。自分の子に合う育児が、その子への最良の療育になるのだと教えてもらえます。
そしてなにより、自閉症のお子さんをお持ちのお母さんに。
疲れちゃったな、という時、ありますよね。日頃は頑張って、臨戦態勢を張って、元気に笑顔を心がけているけれど。やっぱりしんどいこと、多いですよね。そういうときは、我慢し続けないでください。
ご主人にでも、ご自分のご両親にでも、またお友達にでも、いいんです。甘えてお子さんを1日、預けてしまいましょう。それが無理なときは、福祉の預かり支援やお泊り保育。それも無理なら、保育園に行っている間だけでも、自由に遊ぶ日を作りましょう。
お仕事をお持ちでも、1日サボっちゃうこともアリですよ。仲のいいお友達がいらしたら、一緒に行楽をしてランチをして。ひとりで寛ぎたいなら、海を見に行ったり。
エステに行って綺麗になるのもいいですし、映画や観劇やコンサートや。お気に入りのカフェで本を読むのでもいいでしょう。どうぞご自分のために時間を使ってください。
私の友人の中に、いつもお洒落をして、時間があると岩盤浴に行くことにしている!という人がいます。彼女は実は重度の障害を抱える男児のお母さん。どれだけご苦労があるのかと思える状況ですが、自分のストレスを溜めないで上手に生きてらっしゃいます。
大丈夫、お子さんは着実に成長していかれます。自分のことを考え、ケアするのは贅沢でもなんでもないんです。人生、大切に、楽しんでいきましょう。
なんだか余計な脱線も沢山しながら書いてきました。わかりづらいことが多かったら、ごめんなさい。
自閉症の子の育児はもちろん大変ですが、一般的な子育ての延長線上にあるものだと思います。より丁寧に、より深く。逆に思えば、子どもにそれだけ長く多く関われる人生は、実は素晴らしいものなのではないでしょうか。
周囲の誤解や無理解もあります。でもそこは、ある程度働きかけながら、しんどいところはこちらも無視してしまいましょう。
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最後に、重い自閉症を持ちながら、素晴らしい内的世界を示してくれる、東田君の著書をご紹介して、今回のレポートを終わりたいと思います。今回もお付き合いいただき、ありがとうございました。
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