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白菜は栄養ない?生と加熱で栄養素は?効果効能を引き出す調理法

旬の野菜をたっぷりいただくのが大好きです。春には、伸びはじめたばかりの勢いを感じる、筍やアスパラガス。夏には、強い日差しに溌剌と実る、トマトや茄子。秋には、豊穣の土の恵みあふれる、蕪やさつまいも。

 

そして冬にも、凍る大気の中で凜と育つ美しい野菜がありますね。そう、冬の野菜といえば大根や白菜。厳しい気候を静かに生き抜く、そういう強さを感じるのが冬の野菜のイメージです。

 

ご存じでしょうか、精進料理には養生三宝という言葉があって、厳しい冬を乗り切るために大切な食材を三つ謳っています。それは、豆腐・大根・白菜。いずれも白く、地味で、力強い。そんな印象の食材です。

 

さて今日は、そんな冬の野菜から、白菜に焦点を絞ってお話しいたします。

 

●白菜の栄養成分。葉や茎、芯の部分に栄養はあるの?
●栄養素から得られる効果効能とは?美肌効果は?
●生と加熱では栄養素はどうなる?
●白菜の栄養効果を引き出す調理法。食べ方とは?

 

このような内容でお届けします。どうぞよろしくお付き合いください。

 

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白菜の栄養成分。葉や茎、芯の部分に栄養はあるの?

白菜は、アブラナ科アブラナ属の結球葉野菜です。結球というのは葉がぎゅぎゅっと丸く重なって育つことを言います。

 

原種はキャベツと同じ祖先で、古代のイベリア、スペイン界隈ですね、地中海地方で発生したケールのような植物でした。それが流れ流れて、7世紀の中国で白菜として誕生したのだそうです。

 

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栽培を始めたころはまだ結球しない品種だったようですが、改良を重ねて今のような白菜になりました。

 

日本に渡ってきたのは江戸末期で、日露戦争後に本格的な栽培が始まり、全国に広がっていったのだそうです。白菜は日本古来の野菜のイメージがあるので、比較的最近の野菜ということがちょっと意外でした。

 

白菜は水分の多い野菜で、熱量も低いため、栄養価のない野菜とずっと思われてきました。ですが、実りや収穫の少ない真冬に、豊かに成育し、庶民の食卓でその健康を支えてきたのがこの白菜です

 

日本伝統の煮物や鍋料理に豊富に使え、余剰分は漬物にして蓄えることもできました。

 

概して、冬に育つ野菜はビタミンやミネラルなど、特定の1つを多く含有するよりも、さまざまな栄養素を少しずつ広く含む野菜が多いように思います。

 

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白菜はその代表格で、種類の乏しい冬野菜の中で、人の生命維持にしっかりと役立ってくれる機能を備えた、貴重な栄養源だったのです。

 

現代に於いてもその基本は変りません。旬の冬野菜をたっぷりと食べることで、体のバランスを保って健康に季節を乗り切る、そのための良質な食材としての役割を担っています。

 

また、食物繊維ももちろん含まれており、グラム内の含有量は少ないながら、多量に摂取することで体内での整腸作用に充分に役立つと考えられます。

 

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というわけで、白菜の栄養素に関しては、特に多く含まれる成分というのはなく、さまざまなビタミンやミネラルが少しずつバランスよく入っていることが特徴なのです。白菜に含まれる栄養成分をざっと挙げておきます。

 

【 白菜の栄養成分 】

ビタミン類
カロテン・ビタミンC・E・K・B1・B2・ナイアシン(B3)・パントテン酸(B5)・B6・葉酸(B9)

ミネラル類
カリウム・カルシウム・マグネシウム・ナトリウム・リン・鉄

その他
各種アミノ酸・食物繊維・グルコシノレート

 

ここで聞き慣れないのが、グルコシノレートですね!「グルコシノレート」は、アブラナ科の植物に含まれる化学物質です。それが白菜にも含まれています。

 

これは、辛味成分となるものの前駆物質で、単体では辛味は生じません。グルコシノレートとミロシナーゼなどの酵素が合わさることで「イソチオシアネート」(大根の辛味)や「スルフォラファン」(ブロッコリーやそのスプラウトに含有)に変化し辛味成分となります。

 

イソチオシアネートやスルフォラファンはイオウ化合物系のフィトケミカルとして分類されており、抗酸化力をはじめ、抗癌作用の有効性が高いということで注目を浴びています(フィトケミカルとは、植物に含まれ人にも有効な化学成分で、ポリフェノール類のアントシアニンなどが有名です)。

 

白菜に含まれるグルコシノレートはそのままでは効力を発揮しないとされていたり、抗癌効果を期待する声もあったりと、まだ明確な答えの出ていない状態です。今後さらに研究が重ねられることで有効成分の詳細が判明していくのだと思います。

 

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ビタミンとミネラルの中で比較的多く含まれているのが、ビタミンCカリウムです。

 

ビタミンC

ビタミンCは水溶性で熱に弱いビタミンで、体内で生成されないため毎日の食材から摂取しなくてはなりません。コラーゲンの生成になくてはならない物質で、不足すると細胞間のつながりが脆くなり、壊血病を引き起こしてしまいます。

 

骨や腱、軟骨を組織し、維持していくためにも常にコラーゲンが必要です。

 

ビタミンCは食品の保存料にも使われているのをご存じでしょうか。強い抗酸化作用があるためです。人にももちろん有効で、活性酸素の生成を制御し、老化予防や動脈硬化を起因とする病気の予防、抗癌作用などの効能があります。

 

 

カリウム

カリウムは体内でナトリウム(塩)とバランスすることで体液の浸透圧を調整しています血圧の健康維持やむくみの予防などにも働きます。

 

電解質の働きもあり、これもナトリウムとのバランスで筋肉の収縮を行い、心筋の制御も行っているため、人の生命活動に直接関わる物質ということになります。

 

神経系では興奮を抑える役割を持つので、精神の安定にも必要です。また過剰なナトリウムを体外に出す働きもするので、高血圧の予防にもなるミネラルです。

 

 

ビタミンE

ビタミンEは抗酸化作用を持ち、ビタミンB群は糖のエネルギー代謝に不可欠です。中でも葉酸は細胞内のアミノ酸や核酸(DNA/RNA)の生成に関与しているため、新しい細胞を生み出す際には不可欠

 

妊娠・授乳期はもちろん、普段の生命活動として造血や全身の細胞代謝を維持する重要なビタミンなんです。

 

その他のミネラル、カルシウム・マグネシウム・ナトリウム・リン・鉄なども少量ずつですが摂取できる、実は優れものの野菜、白菜なのです。

 

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ところで、白菜は部位によっての栄養の違いがあるのでしょうか

 

調べましたが、ビタミンCとカリウムについて、少し含有率が違うようです。葉の柔らかい部分にはビタミンCが、白く厚い部分にはカリウムが豊富なのだそうです。

 

好き嫌いはあるようですが(うちの子供は葉の柔らかいところしか食べません! う~!)全体をきちんと食べるのが理想的ですよね。

 

また全部の葉が重なって束ねられているところ、芯の部分、そこもじっくりと火を通して食べると美味しいそうですよ!私はずっと捨てていましたが、たしかにちょっと勿体無いような気はしていました。

 

 

ただ時々、土が入り込んでしまっていたりもしますので、そういう時は無理して調理しなくていいかな~とは思います。

 

レシピ集を見ると、芯の部分を煮込んで柔らかくし、ポタージュスープにするなど、工夫次第で美味しくいただけそう。私もトライしてみますね!

 

 

栄養素から得られる効果効能とは?美肌効果は?

ではこれまでにわかった栄養素などから、白菜から得られる健康効果、そして美容効果をまとめてみましょう。

 

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美肌効果

ビタミンCによってコラーゲンが充分に作られることで、肌のキメを整え、弾力ある皮膚を保つ効果が期待されます。また抗酸化作用によって、紫外線ダメージなどによるシミやシワを防いでくれる効果もあります。

 

 

老化予防

ビタミンC・ビタミンEなどの強力な抗酸化作用で体内の活性酸素を抑制、さまざまな老化現象を予防します。また血管内のコレステロールの酸化を抑えることから動脈硬化を予防し、そこから派生する深刻な疾病予防にもつながります。

 

 

高血圧の予防と改善

抗酸化作用のある成分の効能で、コレステロールの酸化を抑制。動脈硬化を予防します。さらにカリウムが血圧の正常維持とナトリウム制御の効能を持つため、高血圧の予防と改善に役立つと考えられます。

 

 

むくみの予防と改善

カリウムが体液の浸透圧を調整する働きをもつため、むくみの予防と改善が期待されます。

 

便秘の予防と解消

食物繊維を含み、また一度に沢山の白菜を食べる料理が多くあるため、整腸作用の効果が期待されます。

 

新陳代謝の促進

ビタミンB群を各種含むため、糖の代謝が活発になり、疲労回復と全身の健康維持に役立ちます。

 

精神の安定と安眠

カリウムによって神経系のバランスが保たれ、神経の興奮を抑制する力がつきます。

 

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また、白菜に含まれる各種アミノ酸のうち、グリシントリプトファンといった物質は安眠を誘う効果を持つことで昨今注目を浴びていますね。

 

グリシンは神経伝達物質として神経の興奮を抑制するため、リラックス成分とも呼ばれます。身心が睡眠に入る準備をするようコントロールします

 

一方のトリプトファンは脳内に入ってセロトニンという化学物質に変ります。セロトニンは昼間の活発な身心活動を支えるのですが、夜を迎えるとメラトニンという物質に変化します。

 

そのメラトニンは体温や脈拍・血圧など身体的な活動を抑えて徐々に睡眠しやすい状態に持って行ってくれるのです

 

 

余談に近くなってしまっていますが(!)セロトニンをメラトニンに変えるなど、脳内での伝達物質支援をしているのがビタミンB6。白菜にはちゃんと入っています。

 

食品からの摂取が必要な必須アミノ酸」は9種類。全て白菜には含まれています(但しグリシンは必須ではなく非必須アミノ酸です)。

 

アミノ酸はタンパク質の構成物質なので、どうしても動物性の食材に頼ることが多くなりがちですが、植物からも摂取できます。特に大豆などの豆類に多く含まれ、白菜のような葉野菜にもまた、少量ながらも好バランスで含まれているのです。

 

 

生と加熱では栄養素はどうなる?

さて白菜の栄養素、ビタミンやミネラルがバラエティ豊かに含まれ、上記のような健康美容効果が期待できることがわかってきました。

 

でも実は、その殆どが水溶性!水溶性ビタミンやミネラルは水に溶け、熱にも弱いんですよね?ここに表記したものの中では、ビタミンC・ビタミンB群・カリウム…って、ほぼ全滅状態ですね!ショック!

 

そしてタンパク質もまた高熱で変質してしまうため、アミノ酸も効かなくなってしまうのでしょうか。いえいえ、そう短絡的に悲嘆しなくてもよさそうです。

 

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いろいろと調べているうちに、だんだんと理解できてきましたよ!私はどうも誤解していたようです。水溶性物質は水に溶けやすく熱に弱い。というのは、その言葉のままなんです。

 

水に溶け出してしまう。熱には弱い。つまり、どこにも分解消失するとは言われていないのです。ちょっとちょっと、それってドユコト!?ですよね。

 

水溶性の名が示すとおり、水には溶け出してしまうのですが、一瞬で溶け切ってしまうわけではありません

 

 

そして切り口として水に曝されている部分から溶け出しますので、ごろんと大きなままで水に浸した状態と、スライスして浸した状態では損失度は違ってきます。皮付きのままなら尚更損失はないかと思います。

 

溶け出してしまうだけなので、ビタミンとしては全く無傷で、溶け出した水に漂っているわけです。それゆえ、野菜を煮炊きした場合はその汁も食せよと言われるんですね。

 

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でもそこでずっと腑に落ちなかったのが、「熱で壊れちゃうんなら煮汁もだめじゃん!」でした。な~んか辻褄があわないよね~とどこかで思いながら来ていました。そうなんです、熱に弱いわけではないのです!

 

なんか衝撃の事実っぽく私の中ではエコーしているんですけど、私だけなのかな~。ひとりで盛り上がっていたら、ごめんなさい。みなさん、水溶性ビタミンは、熱に弱くないんですよ~~~~。

 

100度以上の熱にもビタミン自体が崩壊してしまうようなことはありません

 

 

でも熱に弱いと言われているのは、加熱することで水に溶けるスピードが速まる、ということなんです。それなら納得。水に曝したり、茹でたりしなければ大丈夫ということになりますね。

 

水に溶けるのも、先ほども書きましたが、一瞬で流れ出るわけではありません。手早くさっと湯通しするなら、ほぼ無事なのではないでしょうか。

 

加熱だけなら大丈夫ということで、炒める、揚げる、焼く(グリル)、蒸す、電子レンジにかける、などしても、中の栄養素は無事そうです。

 

ただ、野菜自体の水分が出ることでそこにビタミンなどが溶解して出て行ってしまう、ということはあるかと思います。そういう料理の時は、汁も一緒に食べるようにすればいいんですね。あと、水洗いする際も時間をかけずに手早くしましょう。

 

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そしてまたまた余談です。これはビタミンCに関してなのですが、「酸」や「アルカリ」にめっぽう弱いんです。え?と思われた方、いらっしゃいませんか? 私も最初びっくりしました。

 

ビタミンCは抗酸化作用を持つ物質です。酸に強いんじゃないの?と思っていました。実は、ビタミンCは酸素と結合しやすいんです。酸素を吸収して自ら酸化し、効果のない物質になってしまいます(還元)。酸素でなくても、酸化させる作用を持つ物質にも同様の反応を示して、分解します。

 

これが抗酸化作用の正体なんです。酸化しやすい不安定なものに取り付いて分解する。それで、ビタミンCは空気中の酸素とどんどんと反応をして酸化、違う物質に変っていってしまうため、効力を失っていくんです。リンゴの切り口ってすぐに変色していきますよね、あれがその反応です。

 

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また、アルカリにはもっと弱く、重曹やベーキングパウダー入りの水で煮立てた場合、あっというまに酸素と反応し、分解してしまいます。

 

ああ、水溶性ビタミン摂取は生食が命!と思い込んでいましたが、決してそうではなさそうですね。むしろ、加熱することで得られる点も多いので、短時間調理を心がけながらの加熱は、栄養素の摂取に関して、それほど気にすべきではないと思えてきました。

 

アミノ酸についてはどうでしょうか。タンパク質は基本的に60度前後で変性します。タンパク質の構成単位であるアミノ酸もまた変質するのでしょうか。

 

答えはでした。タンパク質の変性は、アミノ酸による立体構造が変化するだけで、アミノ酸自体が変質するわけではないのです。ですから加熱調理をしても生のままでも、体内でアミノ酸に分解されると、その本来の姿でそれぞれの役割を果たしてくれます

 

 

白菜の栄養効果を引き出す調理法。食べ方とは?

実は、この記事を書き始め、白菜について調べだしたときは、ビタミンやミネラル保存を意識して、生食のレシピを沢山考えなくちゃ!と意気込んでいたのです。

 

ところが調べていくうちに、白菜はそう頑張って生食ばかりしなくても大丈夫だと思えるようになりました。美味しいメニューを考えて、美味しく食べていいと思います。

 

生のサラダや、塩もみ、漬物、酢漬けなどはもちろん美味しく体にもいいのですが、加熱調理には嵩が減って沢山食べられるという利点もあります。

 

なにより煮込みには煮込みの美味しさが、油との炒め料理にはその美味しさがあり、どの白菜の味にも捨て難い魅力がいっぱい。いろんな調理法で、たっぷり食べるのが一番の栄養になるのではないでしょうか。

 

 

ただし、これだけはという、調理上で気をつけた方がよい点が少しありました。最後にまとめておきますね。

 

【水に長時間浸けない】

水溶性の栄養分が流れ出てしまいます。洗うときはさっと手早くしましょう。スライスして水に曝すのは厳禁です。

 

【切ったまま、長く空気にさらさない】

ビタミンCは空中の酸素で酸化をして、どんどんとその効力を失っていってしまいます。

 

【茹でる、湯通しするときは短時間で。なるべく大きな葉のままで】

栄養素の溶解が、過熱によってさらにスピードアップ。煮過ぎてしまわないようにしましょう。

 

【煮込みや鍋料理やスープなど、栄養分が溶け出した汁も全て食べてしまえる場合は大丈夫です!】

水に溶け出した栄養素に変化はなく、もとの効能を維持していますので安心してください。

 

【蒸す・焼く・揚げる・炒めるも気にせずに調理していいんです!】

ただし、炒め物や蒸し物で、水分が出てくる場合は要注意。出てきた水分に栄養素が溶け出してしまっています。なるべくそれも一緒に食べられるように、あんかけにするなどの工夫をするといいでしょう。

 

【関連記事】
銀杏の栄養と効能。食べ過ぎによる中毒症状とは?妊娠中はNG?

 

白菜は、キャベツやたまねぎ、大根や人参などと並んで、非常にコストパフォーマンスに優れた食材です。さまざまな調理法でいろいろに変身させて、秋冬の食卓に活躍させましょう。

 

すっかり長い記事になってしまいました。今日もお付き合いいただき、ありがとうございました!

 

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