うな重とうな丼の違い。食べ方のマナーとは?奈良漬はなぜ付いてる?
和食の中でも、ちょっと別格なご馳走といえば、鰻ではないでしょうか。毎日食べないけれど、ここぞというときに「じゃぁ、鰻でも食べにいきましょう!」「まぁまぁ今日は鰻でも取りましょう!」と、そんなメニューですよね。
でも、滅多に食べに行かないからこそ、実はあまり知らない。。。ということ、ありませんか?
そのわりに、いざ行くときって目上の人にご馳走になったり、ちょっと気を使う人と一緒にお店に入ったりというシチュエーションが多そうに思います。
そういうときに困らないために、ちょっとだけ「鰻」の食べ方について、予習しておきましょう。ここでは、
●うな重とうな丼、ひつまぶしの違いって?カロリーで比べると?
●奈良漬が付いているのはどうして?鰻に奈良漬の理由とは。
●うな丼の正しい食べ方とマナーについて。美味しい食べ方とは?
について、お伝えしていきたいと思います。
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うな重とうな丼、ひつまぶしの違いとは?カロリーで比べると?
鰻メニューの代表格といえば、「うな重」・「うな丼」・「ひつまぶし」、あたりでしょうか。この3つって、なんとなく知ってるけど、いざどう違うの?と聞かれるとちゃんと答えられませんよね。。。
この際、きちんと違いを明確にしておきましょう。その前に、これらのメニューの共通点は何でしょうか。違いを明確にするためには、同じところを確認することが大切かと思います。
簡単なことですが、3つの共通点は、鰻と白ご飯のコラボというところです。ならばまず、鰻と白ご飯コラボの起源から、紐解いてみましょうか。
それは江戸時代に遡ります。川の渡し舟を待っていた旅人が、その茶店で鰻の蒲焼と、丼鉢(どんぶりばち)で白いご飯を食べていたそうです。
そこへ、舟が急に出ることになって慌てた旅人は、ご飯の丼鉢に蒲焼の乗ったお皿をそのまま(蒲焼ごと)被せて蓋にして、片手で持ったまま乗船しました。
そして舟に揺られながら、さぁ食べようとしたところ、ご飯の湯気で鰻がふんわりと蒸されてとっても美味しくなっていた。それが、「白ご飯に鰻の蒲焼を乗っけて食する」ことの始まりだったとのことです。
慌てふためいて舟に乗り込む姿、想像してしまいました~。落語の一節みたいで面白いです!
というわけで。丼鉢に白ご飯と鰻の蒲焼。うな丼がその始まり、ということですね。ですから、「うな丼」は、陶器の丼鉢が基本です。丼に、白ご飯、その上に鰻の蒲焼、たれ、が掛かったものです。
では、「うな重」の、重とは何のことかといいますと・・・重箱のことなんです。お正月のおせち料理を入れる、お重のことですね。重箱というのは基本的には漆器ですから、それだけでかなり高級な器です。重箱に入った鰻飯がうな重です。
そう、うな丼から、ワンランク上の高級感を打ち出すことで、鰻そのものの格を上げたお料理なのです。
もともとは、お重のように、下の箱にご飯、上の箱に鰻の蒲焼、という形で供したこともあるようです。(今でも、そういう形で「うな重」とする料亭もあります)
もうひとつ、うな重の重には、下から、白ご飯、鰻、白ご飯、鰻、と重ねる、という意味もあるようです。塗りのお重に、しかも2層仕立ての鰻飯が入っているのですから、かなりのゴージャスさですね。
実際、うな丼よりもうな重の方が、鰻の質を良く、量も多く、と設定している店舗が多いようです。価格もその分、うな重の方が高く設定されているのも確かです。
また、うな重には、松・竹・梅とランクを選べるようになっていることも多いです。お値段は梅~松へと高くなります。上とか特上とか、そういうランクを付けてある場合もあります。
一例ですが、梅は1,500円、竹は2,500円、松になると3,500円とか、お店によっては5,000円くらいするところもありますね。5,000円のうな重!私などは死ぬまでに一度、どなたかにご馳走になりたい!と憧れるばかりですよ~。
そして、うな丼には、せいぜい香の物やお味噌汁が付くくらいですけれど、高級なうな重には、鰻の肝吸いが定番として付くことが多いです。香の物も、たくあんやキュウリのお漬物ではなくて、奈良漬だったりします。
では、「ひつまぶし」とはどういうお料理でしょうか。「ひつ」ですから、器は「お櫃(ひつ)」です。
炊き立てのごはんを、昔の人は「さわら」という木で出来た「お櫃」に移して湿気と黴などの雑菌からご飯を守り、美味しく保存しました。そのお櫃ですね。
白ご飯をお櫃に移して、細く切った鰻の蒲焼をご飯に混ぜ込んで、ご飯の湯気で蒸らすことで、鰻もまた美味しくなります。それを、自分でお茶碗によそっていただくのですが。。。
一杯目はそのまま。二杯目は薬味(葱や三つ葉など)を混ぜ込んで。三杯目はそこへさらに出し汁を注いで。という手順でいただくといいと、されています。
また、鰻の蒲焼自体、刻んでいるということで、もともと小さい鰻や売れ残った鰻を有効利用したお料理として発達したようです。
さて、気になるカロリーのことを考えてみましょう。鰻は夏バテ解消にと言われるくらいだし、かなりの高カロリー食なのだとしたらやっぱり気にしてしまいますよね。
ところが!!!鰻はとっても低カロリーな食材なんですよ~。私もちゃんと調べるまで、知らなかったので、目からウロコでした。
うな丼の平均的な量でしたら、650キロカロリー~700キロカロリー程度なのだそうです。天丼やカツ丼が軒並み1,000キロカロリー前後ありますから、丼物の中では格段に低カロリーなのです。
ちなみに、マグロの中落ち丼なども、うな丼と同じくらいのカロリーだそうです。お魚万歳!ですね(笑)
内訳を申しますと、鰻の蒲焼が250~300キロカロリー。ご飯が400キロカロリーというところでしょうか。そうなんです、総カロリーの半分以上がご飯由来なのです。
それでは、うな重ではどうかと申しますと。。。やはり、同じくらいの、650~700キロカロリーということです。
ただし、高級なうな重の場合、ご飯が少なめで、その代わり鰻の量が多く設定されていることが考えられますので、その分、もしかしたらカロリーも少し低いかもしれませんね。
カロリー的には、うな丼とうな重では、そうは変らないか、うな重の方が少し低いくらい、という感じです。
そして「ひつまぶし」ですが、これは基本がご飯なので、その分カロリーは高くなってしまいます。ある名古屋の老舗のひつまぶしのカロリーを計算した方がいらして、それによると一食約900キロカロリーとのことでした。
でも、美味しい鰻をここぞ!と思っていただくのなら、あまりカロリーはその時ばかりは気にせずに食べていいのではないかな~と思います。それに、思ったほどの高カロリーではないですし、実はそのほかの意味でも鰻は体にとってもいいのです。
「オメガ3脂肪酸」というのを聞かれたことはありますか?体に必要な脂肪のうち、とても大切なもの、体にいい油なんですよ。
魚の油に多く含まれるのですが、DHAやEPAと言われる不飽和脂肪酸で、細胞の働きを正しく保ち、血液中の脂質を抑え込んで、代謝をうながし、脳を活性化させる。。。という大切な働きをしています。
その「オメガ3脂肪酸」を鰻はたくさん含んでいるのですよ~。また、ビタミン類や鉄や亜鉛などのミネラルも豊富に含んでいます。
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奈良漬が付いているのは何故? 鰻に奈良漬の理由
さて、さきほど、高級なお店のうな重には「奈良漬」が付いていると申しました。そうなんです、鰻といえば奈良漬がつきもの。なぜ?と、今まで考えたこともなかったんですが。せっかくなので、調べてみました。
鰻に奈良漬の起源はわかっていませんが、いつのころからか、鰻には奈良漬が供されるようになっていたようです。それを後に調べたところ、結果的に実に合理的なベストマッチであることがわかってきたとされています。
奈良漬というのは、瓜を酒粕に漬け込んだ漬物のことです。
古くは平城京の時代に始まったといわれる酒粕漬けで、江戸時代には奈良の漢方医が瓜の酒粕漬けを「奈良漬」と称して販売を始めたとのことです。歴史ある食品なんですね。
その奈良漬、ご覧になるとなんとも透明感のある濃い琥珀色というか、茶色をしていますよね。その色が「メラノイジン」という物質で、酒粕と瓜とが発酵することで生成されるのだそうです。
メラノイジンは抗酸化物質で、それだけでももちろん体の老化防止にとてもいいのですが、特に、ビタミンとミネラルの吸収を助ける役割が高いのです。
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そう、先程も出てきましたが、鰻はビタミン(特にビタミンAが豊富で、目や免疫力強化によいとされます)とミネラルを豊富に含んだ食品ですから、この組み合わせはまさにベストマッチと言っていいでしょう。
なんといっても、鰻のまったりとした良質の脂分を味わったあと、奈良漬のふんわりと漂う酒粕の香りを楽しみながらカリッとかじる。その、さっぱりとした味が口の中をすっきりとさせてくれるのがなんとも幸せです。これぞ大人の「鰻の楽しみ方」ですよね。
それにしても、美味しい組み合わせだけなのではない、昔ながらの健康への知恵というものに、本当に感心してしまいます。
うな丼の正しい食べ方とマナー。美味しい食べ方とは?
では、うな丼やうな重の正しい食べ方、マナーとして何かあるのでしょうか。
私としては、特に固有のマナーというのはないと思うんですよ。調べてみると、丼にしろお重にしろ、左下端から(左利きの人は右下端から)、ご飯と鰻とを同時にすくって、少しずつ崩しながら綺麗に食べてゆく。。。
と書かれていたりしますが、私は、真ん中から食べても右上から食べても、別にいいんじゃない?と思います。先に鰻を食べて、後からご飯でもいいじゃないですか?
要は、ご自分のお箸の使い方もありますし、食べやすいところから、美味しいと思う食べ方で、いいのです。
ただし、ボロボロとご飯つぶを器にくっつけた状態でごちそうさま!といのは、大人としてはいただけないですね。一粒も残さずに、綺麗に食べきって、おいしかったね、と同席の方と微笑み合えればオッケーです。
あ、ただ、2点だけ、うな丼とうな重に限らずですが、和食マナーとして間違えやすい点だけ、お伝えさせてください。
まずひとつめ。うな丼もうな重も、器に蓋がありますね。
その蓋は、特にお重の方ですが、蓋を取って、お重本体の下に敷いてしまう方がいらっしゃいますが、それはNG!です。高級な漆器を傷つけてしまう可能性があるからです。
蓋は必ず、そっと上を向けて(蒸気の水滴が付いている場合、下に落とさないために上を向けて)横に置きます。そして、食事が終わったら、また綺麗に蓋をした状態に戻して、食器をさげてもらうのを待ちます。
その際、時々、蓋を裏返しにして器に載せる方がいらっしゃいますが、それもしてはいけないことです。これは丼などの陶磁器の器でしてしまいがちなのですが、これは陶磁器の蓋や器の縁が欠けてしまったりすることにつながるので、やはりNG行為なのです。
ふたつめは、器を手で持っていいのかどうか。口をつけるのはどうか。についてです。
器は、うな丼もうな重も、手で持ち上げて大丈夫です。ただ、器が大きくて片手で持ち上げ辛い場合は、片手でそっと傾けるなどにとどめましょう。
また、器に直接口をつけるのはよくありません。ただし、「ひつまぶし」の最終形態である「お茶漬け」もしくは「出汁漬け」では、お茶碗に口をつけていただいて構いません。
ただ、お茶漬け用のスプーン(匙)が付いている場合は、やはりスプーンを使ったほうがよさそうですね。ともかく、食べ方についての大きな決まりごとは他にはありませんので、美味しく、ゆっくりと、楽しんで、季節の鰻をいただきましょう。
「うな丼」「うな重」「ひつまぶし」三つの違いをちょこっと考えてみましたが、あなたのお好みはどれでしたでしょうか。ちなみに私個人的には、ちまちまと自分でお茶碗に装(よそ)っていただく「ひつまぶし」が楽しくて好きですよ。
量が多すぎても、同席した人と親しい仲でしたら、「ちょっと余りそうだから手伝って」と甘えることも出来ます(逆も可です、もちろん! 笑)
【関連記事】
夏バテの症状と原因。疲れ解消、対策と予防に効く食事や食材とは?
みなさんも、美味しくて体にもいい鰻を通年お楽しみくださいね。和食の定番の品がひとつ、好きなものとして加わるのは、日本人として素敵なことかもしれません。
※2018年1月半ばごろにウナギの大不漁!という衝撃的なニュースが各報道会社より伝えられました。ウナギの高騰が懸念されているようです。
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