養育費の相場はいくら?年収の目安。子供1人と2人の場合は?
子どもを持つ両親が、やむをえない事情で離婚してしまった場合、どういう事を考えておく必要があるでしょうか。よく聞かれるのが、親権や養育費、慰謝料などの問題です。
感情的な思いが募りに募って離婚というケースもあると思いますが、離婚後の生活を考えて手続きを取っていないとトラブルになる場合があります。
そこで今回は、お子さんを守るために必要な養育費について、
●養育費とは?支払い義務の期間はいつまで?
●養育費の目安。子供が1人、2人、3人の場合は?
●年収で金額が変わる?300~1,000万で相場は?
●養育費の決め方。揉めないで話し合うコツは?
といった内容でまとめてみますので、よろしければ参考にしてみてくださいね。
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養育費とは?支払い義務の期間はいつまで?
<養育費とは?>
そもそも養育費とは、どういうものなのでしょうか?
「養う」という漢字が意味するように、自分の子どもを「監護・教育」する(養う)ために必要な費用のことをいいます。「監護・教育」の「監護」があまり聞きなれないですよね。
これは「監督・保護」を短くした言い方で、その意味は、子どもの心身が健全に発育できるように、日常生活の面倒を見る、ということになり、そのための費用が「養育費」です。
具体的には、以下ような用件で必要な費用となります。
1.子どもの衣食住のための費用
2.幼稚園・保育園~大学までの教育費
3.健康を維持するための医療費
4.その他、子どもが自立した社会人として成長するために必要な費用
子どもに対する養育費の支払義務は、離婚しなかった場合と同等レベルの生活ができるようにしなければならないという意味合いが含まれています。
離婚によって、子どもの生活レベルが下がってはいけないということです。たとえ親がギリギリの生活をしていたとしても親と同程度の生活は保障しなければなりません。これを、生活保持義務といいます。
万が一自己破産した場合でも、子どもの養育費は負担する義務があるのです。
大切な大切な自分の子どもの生活を保障し、心の成長を支えることは、当然の責任ですね。
<支払い義務期間はあるの?>
実は、養育費の支払い期間については、法律で規定はありません。
つまり、養育費については、金額や支払い方法だけでなく、その支払い期間についても、当事者の話し合いによって決める、ということになります。
一般的にいえば、未成熟の子どもは「経済的・社会的に自立していない」とされているので、子どもが社会人として自立するまで、養育費を支払うケースが多いようです。
しかし、個々の家庭の事情や生活環境にもよるので、実際には親と同等の学歴まで支払う等、個々人で納得する期間を決めていきます。
1.義務教育を終了する月まで
2.高校を卒業する月まで
3.大学・専門学校を卒業する月まで
4.子供が成人する月まで
というような区切りで決める事が多いようです。
養育費の目安。子供が1人、2人、3人の場合は?
実際養育費を支払うとなると、月にどの程度支払うべきなのでしょうか。協議離婚の場合、養育費の金額は基本両親の話し合いで決めます。
統計的にいうと、
●子ども1人・・・2~4万円/月
●子ども2人・・・4~6万円/月
●子ども3人・・・5~7万円/月
という金額が一般的ですが、決まりはありません。
両親の財産、経済力、今後の収入や生活レベル、子どもの必要生活費など個々の事情を考えて決定します。
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決まりはないのですが、原則として、子どもは生活レベルの高い方の親の水準で暮らせるように、別居している側の親に養育費を請求できます。
また、養育費の金額の目安として、最近では東京・大阪の裁判官が同研究会し作成した新方式の「養育費算定表」が、参考資料として活用されているようです。
年収で金額が変わる?300~1000万で相場は?
年収によって養育費の金額は違うのでしょうか?さきほどの「養育費・婚姻費用算定表」を参考に見てみます。
親権者の収入が0万円、子ども1人とした場合に、支払う親の年収による違いはどのようになるのでしょうか。
●年収300万円の場合・・・2~4万円/月
●年収500万円の場合・・・4~6万円/月
●年収700万円の場合・・・6~8万円/月
●年収1,000万円の場合・・・10~12万円/月
もちろん、以下のような条件によって目安となる金額は変わってくるので、参考にされるといいでしょう。
(1)養育費を支払う親の年収
年収が高いほど、もらえる養育費の金額は高い傾向があります。
(2)親権を持つ者の年収
子どもを引き取った親の年収が低いほど、もらえる養育費の金額は高い傾向があります。
(3)子どもの年齢
子どもは成長していくほど、教育費がかかります。特に義務教育が終わる高校生以上の子どもに対する養育費の金額は高くなっていく傾向があります。
(4)子どもの人数
当然ですが、子どもの数が多いほど、もらえる養育費の金額は高くなります。
実際には、親権者が仕事をしている場合も多いと思います。先ほどの「養育費用算定表」には、年齢別、子どもの人数別、親権者の収入など細かい事例を調べることができますので、参考にしてみてくださいね。
養育費の決め方。揉めないで話し合うコツは?
養育費は子どもに必要な場合、いつでも請求ができるのですが、離婚する際に「要らない」と養育費を受け取らない形で生活してしまうと、後から養育費を請求した際に、相手が納得せずに、結局支払いしてもらえない、などトラブルになることがあります。
親同士感情的に色々なぶつかりがあるとは思いますが、大事なお子さんが成育していくための費用ですので、しっかり確保できるように考えたいですね。
養育費の取り決めについては、以下のような方法がとられています。
(1) 話し合いで決める
養育費について、支払いの義務はありますが、金額などの細かい規定はないので、当事者同士で決めることになります。
まずは、話し合いをして、お互い納得のいく形で決められるのがベストですね。ただし、離婚後に改めて話し合えばいいかな、というのでは、後々問題になることが多いです。
養育費については、離婚するときに、親権者を決めるのと並行して、金額、支払時期、支払期間、支払い方法など細かい点まで取り決めておくようにした方がよいでしょう。
また、口約束もトラブルになる可能性があります。約束を書面にしておくことをおすすめします。費用や手間はかかってしまいますが、「公証役場」というところで、「公正証書」をつくってもらうことができます。
「公正証書」というのは、法務大臣から任命された公証人(裁判官、検察官、法務局長を長年務めた人)が、当事者の依頼に応じて、民事上の約束、契約などの法律行為について、公証人法、民法などの法律に従って作成してくれる公式な文書です。
公文書なので高い証明力があります。養育費の支払いを怠った場合などは、強制執行手続きに入ることができるので、子どものためにも公式な形で残しておくと良いでしょう。
(2) 家庭裁判所の調停や審判などで決める
話し合いの場で、金額などお互いに折り合いがつかないなど、難しい場合は、家庭裁判所に調停または審判の申立てをして養育費の支払いを求めることができます。
調停で話し合いをしても、まとまらなかった場合は、家庭裁判所では審判で養育費を決めます。
家庭裁判所の調停や審判で決められた事項については、強い執行力があるので、いざというときには、強制執行(差押え)もできます。
(3) 家庭裁判所の裁判で決める
離婚を求める訴訟で、離婚の話し合いをしながら同時に養育費について、判決で決めてもらうこともできます。
(4) 離婚後に養育費を請求する場合
養育費は、離婚時に決めていなくても、子どもの必要や親の支払い能力に応じ、いつでも請求できることになっています。
離婚時に「養育費は一切要らない」と言って離婚しても、場合によっては、養育費を請求しなければならないこともあると思います。予定していた親からの援助がなくなったり、子どもの病気や学費負担増のために、生活費が不足することも少なくありません。
このような場合に養育費を請求すると、離婚時の口約束を持ち出し、要求に応じない場合もあるのです。 そのような場合には、話し合いをあきらめ、家庭裁判所の調停、審判を利用しましょう。
子どものための費用を拒否するなんて、と悲しくなりますが、現実に養育費の支払いが持続しないケースもあるようです。何らかの形で公式に取り決めておくようにした方がよいでしょう。
(5) 事情が変わった場合の養育費の金額の変更
養育費は、長い年月続けて支払うものです。その間に、生活状況が大きく変化することがあります。その際、以前に決めた養育費では不足になる場合があります。
子どもの成長や病気などで生活費が当初の予定より増大したり、 また、別れて暮らす親が再婚し、扶養家族が増えて養育費の支払いが苦しくなったり、場合によっては転職などにより、減収になったなどもあるかもしれません。
そういう場合、増額や減額について話し合いして調整できればよいのですが、それでも決まらない場合は、養育費の金額の変更について、家庭裁判所の調停・審判を申し立てることができるので利用しましょう。
いかがだったでしょうか。大切なわが子のための費用とはいえ、養育費の支払いについては、様々な事情で支払いが続かないケースも見られます。
離婚時には、その気があって約束したことでも、長い年月たつことで、段々と負担に感じて、支払いを怠る、ということもあるようです。
人の気は変わる、とよく言いますが、生活環境なども変わることが考えられますので、口約束だけに留めることは、やめた方がよいでしょう。
支払い期間も法律で決まっているわけではないので、そういう面からも最初に公式な書面として、金額、期間、年齢に合わせた増額など「養育費用算定表」などを参考にして、細かく記し残しておくことが、子どものためにも必要だと思います。
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