避難所生活で必要なもの。熊本地震で被災してわかった問題点と体験談
2016年4月14日、4月16日とまさかの2度の大地震が起こった「熊本地震」。この熊本地震を私は体験しました。突然の大きな揺れにただただ恐怖を感じ、その後は車中泊や避難所生活が何日も続きました。
テレビなどの報道で、被害の状況等は皆さんご存知の通りですが、実際に熊本地震を体験して思ったこと、感じたことをお伝えしたいと思います。
●避難所生活に必要なもの。本当に役立つ必需品とは?
●避難所生活の食事事情。どんな食事メニューが提供された?
●プライバシーはあるの?実態や女性から見た問題点
●避難所生活を体験して感じたこと。被災者として伝えたいこと
これらについて、実際の熊本地震のその後をお話しします。地震から1か月以上が経過しましたが、まだまだ熊本地震の爪痕は大きく残っています。
大きなショッピングモールなどは、建物の被害が大きく、いまだ再開のめどもつかない状況。5/10から熊本県内全ての小・中学校が再開となりましたが、いまだ避難先から通わざる得ない子供や、損壊した家から通う子供が多くいます。
地震により被害を受けた多くの家が、人手不足・材料不足の問題でほとんど手つかずの状態です。いったいいつになれば普通の生活に戻れるのか…。不安ばかりですが、今回の地震体験をお伝えすることで、少しでもこれからの防災対策にお役にたてれば嬉しいです。
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避難所生活に必要なもの。本当に役立つ必需品とは?
最初に本震とされた4/14の地震。のちに4/16の地震が本震とされ、1回目の大地震は前震とされましたが、どちらの地震も本当に恐怖の時間でした。
1回目の地震直後に、私たち家族も慌てて近くの小学校へ避難しましたが、あまりにも避難者の数が多く、学校の運動場や駐車場にブルーシートが敷かれ、そこで一夜を明かさねばならない状況でした。
とてもじゃありませんが、ゆっくり眠れる状況でもなく、私たち家族は一度家に戻り、車の中で休むことにしました。
今回の地震で避難を余儀なくされた人はたくさんいますが、プライバシーが気になる人や小さなお子さんがいるご家庭など、昼間は避難所で過ごし、夜は車中泊でしのぐ人が多かったようです。
私たちも1回目の地震直後はパニックになりましたが、朝を迎え、少しずつ落ち着きを取り戻すことができました。この時点では、家の損壊もさほどひどくありませんでしたので、私たち家族は地震2日目より帰宅し、家の中で寝ることにしました。
私たちだけでなく、ほとんどの人が避難所から家に戻っており、まさかの2度目の大地震が起こることとなります…。
昼間、地震被害の片づけに追われ、ほとんどの人が疲れて寝静まっていたであろう夜中の1時過ぎ。突然のドーンという下から突き上げるような大きな揺れ。2回目の本震が起こりました。
私は驚いて飛び起きましたが、地震発生と同時に停電となり、真っ暗な家の中を大きな揺れが襲います。日頃は自室で寝る子供たちも、前日の地震の恐怖から近くで寝ていましたので、子どもたちと主人と身を寄せ合って揺れがおさまるのを待つしかありませんでした。
2回目の本震の揺れは、1回目の地震の非ではなく、本当に恐怖の時間でした。家中の家具が倒れ、食器の割れる音、屋根の瓦が落ちる音、子どもたちの悲鳴…。真っ暗な闇の中で、私も恐怖しかなく、必死に子供たちを抱きしめるしかありませんでした。
少し揺れがおさまったのを見計らい、外に脱出。外に出ると、多くの人が外に避難していました。当たりを見回しても真っ暗な闇夜ですが、恐怖におびえるたくさんの人々。壁が剥がれ落ちた隣家。家の敷地を囲む塀は、全て倒壊。その後も、30分ほどでしょうか…大きな揺れは続いていました。
地震は本当に怖いです。まさか自分の住む場所にこんな大きな地震が来るなんて…。思ってもみませんでした。さて、ここからが本当の避難所生活となります。
最初の3日は、道が寸断するなどの交通事情により、物資はほとんど届きませんでした。避難所により格差もあったようですが、私たちの避難先では、初日は毛布が一世帯に一枚(4人で1枚は全然足りません…)。
食事は、一世帯におにぎり2ヶのみ。4人家族の私たちは、一人当たりおにぎり半分の支給です。店もどこも開いていませんし、ガス・水道・電気のライフライン全て止まっていましたので、この2ヶのおにぎりを家族で分け合って食べました。
避難所生活で一番困ったのは、何より水です。飲み水はもちろんですが、トイレなどに使用する生活用水もなく、非常に困りました。
毛布も必要と感じました。まだ肌寒い日が続いていましたので、寒さをしのぐ為の毛布が避難所では不足していました。食べ物もなく、寒さから体調を崩す人も多くいました。
懐中電灯等はなくても、最近は携帯電話に電灯機能がついていますので、携帯電話さえあれば暗闇を灯すこともできましたし、両親や兄弟の安否確認、地震被害の状況確認もできました。
しかし、この携帯電話の電源が切れてしまうと何もできません。今回の地震では、電気がストップしていましたので、車のシガーソケットで充電できる充電器を、もしもの時に備えておくと便利です。
その他、重宝したアイテムがカセットコンロ。電気・水道・ガスが止まっていましたので、カップ麺はあってもお湯が手に入らないと食べられません。カセットコンロとお湯を沸かす小さい鍋は必需品でした。
あ!あと割り箸も必需品。空腹の中、カップ麺が出来上がっても、箸が手に入らず、仕方なくすすりながら食べることもありました。
それと、飲料水や生活用水を入れるタンク(容器)。避難中、救援物資で水の配給がありましたが、水を入れる容器を持っていなければ、水をもらえないこともありました。
もちろん、簡易の水を入れるビニール製の容器が準備されていたのですが、数が足りず、長時間並んだにも関わらず水をもらえないという人も多かったようです。
避難所生活の食事事情。どんな食事メニューが提供された?
避難所生活の食事は、これも避難所により格差があったようです。熊本県内にいくつもの避難先がありましたので、多少は仕方のないことかもしれませんが、その地域の交通事情も関係していたようです。
私たちの地域の避難所は、朝10時と夕方17時の2食の提供でした。おにぎりが支給される時は良い方で、一番印象に残っている避難所の食事は、透明のビニール袋に白ご飯を入れられただけの食事でした。
塩も梅干しもありません。ただ、ビニールに入れられた白ご飯のみ…。こんな状況で贅沢を言えないことは分かっていますが、どんなに空腹でも白ご飯のみではさすがに全部食べることはできませんでした…。
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避難所生活3日目ごろからは、ボランティアの人も増え、非常食などの物資も続々と届くようになり、地震後4日目の朝に温かいお味噌汁を飲んだ時は本当に涙が出ました。その後の食事メニューは、親子丼や炊き込みご飯など美味しいものがたくさん出ましたよ。
ボランティアの皆さんには、本当に感謝感謝です。
後から聞いた話しでは、避難先によっては東京の有名シェフ数名がボランティアで滞在し、フランス料理や和食を毎日堪能できた地域もあったそうです。うらやましい!
避難所生活を体験してみて思ったことは、やはり3日分程度は自分で備蓄食材を準備しておくべき!3日、自分たちで頑張れば、その後は充分な食料や物資が各所から届き始めます。
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プライバシーはあるの?実態や女性から見た問題点
はっきり言って、避難所にプライバシーはありません。着替えをしたくても、専用の部屋などはありませんので、その場で家族に毛布などで囲いを作ってもらい、その場で着替えるしかありませんでした。
授乳中のママたちも、同じこと。授乳専用のスペースはありませんので、授乳の為に車に戻る人も多くいました。小さい子を連れているママは、泣き声などで迷惑をかけることを気にして、避難所は使わずに車中で過ごす人も多かったようです。
女性の下着や生理用品も、赤ちゃんのおむつ用品などと同じ場所に積み上げられ、ボランティアさんから必要なものを受け取る仕組みでしたので、この支給方法にももう少し配慮がほしかったところ。
やはり思春期や若い女性にとっては、男性のボランティアさんから下着や生理用品は受け取りにくいと思います。こういう時だからこそ、少しでもストレスを軽減できるよう、女性専用の物資支援場所の確保など、配慮してほしかったですね。
避難所生活は、女性にはストレスの溜まる問題が多くあったように思います。
避難所生活を体験して感じたこと。被災者として伝えたいこと
初めて避難所生活を体験し、ボランティアの皆さんの頑張りには本当に感謝の一言です。しかし、なかなか支援物資(特に水)が届かず、ストレスと疲れが溜まったのも事実です。
私たち家族は、昼間は避難所で生活しましたが、夜は車中泊でした。揺れがくるたびに、また地震!!と恐怖がよみがえり、満足に眠れない日々が続きました。
地震直後は、回線がパンクし、電話もまともにつながらない状況でしたが、LINEは地震直後からつながりました。緊急時の一刻も早い安否確認には、LINEなどのSNSの活用も有効です。
それから、軒下に車を置いている人は要注意!私も家の軒下に車を置いていましたので、屋根瓦が落ちた時に車も被害を受けました。幸い車の窓が割れずに済んで良かったのですが、今回の地震で車の窓を破損している人を多く見かけました。
その他、地震保険の対応の早さには感謝です。連絡をして、3日後には地震被害の調査に保険の調査員が来てくれ、保険金も調査後5日後には振り込まれていました。
その反面、行政による「り災証明」は、申請後1か月近く経過するにも関わらず、いまだ発行されていません。このような状況で行政も大変なのは分かりますが、一刻も早く「り災証明書」を発行してほしいものです。
また、テレビカメラにもストレスを感じました。皆さんに現状を知ってもらうのが一番なのは分かりますが、許可も得ず、避難所にただカメラだけを向けられ、怒りを露わにする避難者もいました。
【関連記事】
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しかし、熊本の今を知ってもらうことで、各所から応援や支援もたくさん頂いたのも事実です。元の生活に戻るには、まだしばらく時間がかかりそうですが、少しずつ力を合わせ頑張っていきたいと思います。
「がんばろう!熊本!」
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